2021.08.10

サッポロビールの日本ワイン「グランポレール」の飲用シーンを見える化へ。シニア世代を惹きつけたフォトコンテスト。

シニア市場においても、SNSの活用は無視できなくなってきています。お酒は気分や趣味でといった抽象的なイメージを、フォトコンテストを通じて飲用シーンを想起させることで具体的なイメージへと転換。趣味人俱楽部とのこの取り組みについて、日本ワイン「グランポレール」をつくるサッポロビール株式会社とオースタンス代表の菊川が対談しました。

▲左からサッポロビール株式会社 高久様、オースタンス代表 菊川

50代を中心にシニア層に支持される「純国産ブランドワイン

菊川(OST):今回、弊社で担当させて頂きました、御社の商品について教えて頂いてよろしいでしょうか。

高久(SAP):2003年に立ち上げた純国産ブランドのワイン「グランポレール」を生産しています。北海道・山形・長野・山梨・岡山といった国内北から南までの幅広い品種のブドウを、その土地の気候風土に合わせて栽培し、醸造しております。価格も種類も、非常にバラエティ豊かな商品です。

▲純国産ブランドワイン「グランポレール」

菊川(OST):グランポレールを飲まれている客層や、飲まれるシーンにはどのような傾向がありますか。

高久(SAP):50代が一番多く、次いで40代、60代の方々をメインに選んでいただいております。日本ワインは輸入物に比べてやや高価格となるため特別なシーンに飲むなど、もともと年齢層もやや高めのお客様に好まれるという傾向があります。

菊川(OST):ターゲットユーザーの獲得において、サッポロビール様がこれまで実施されてきたことや、実施後のお客様の反応がどう変わったかなどお聞かせください。

高久(SAP):コロナ前には、オフラインでブドウの生産者から直接話を聞けるという、リアル体験イベントを実施していました。その場でシェフが用意した日本ワインに合う料理とのペアリングを、みなさんに楽しんでいただけたイベントでしたね。参加者の半数がグランポレールは初めてという人達でしたが、食事だけでなく生産者との会話も楽しめる部分に多くの人から共感を得ることができました。

▲サッポロビール株式会社 高久様

菊川(OST):オフライン以外にもオンラインを活用された事例などはありますか。

高久(SAP):SNSを活用した情報発信を4年ほど前から実施しています。ここでもオフラインで反応が良かった、ワインと食事のペアリングを積極的にアピールしています。SNSは主に既存ユーザー層や若い世代をターゲットにしているため、シニア世代からの反応はやや薄いという感じですね。

趣味人倶楽部フォトコンテストによってシニア世代へ認知拡大

菊川(OST):オースタンスへご依頼いただいた経緯など、サッポロビール様が抱えられていた問題や課題についてお聞かせください。

高久(SAP):グランポレールは国内上位に入るブランドワインです。しかしワイン全体のなかではまだまだ認知度が低いというところに、問題がありました。グランポレールの魅力をもっと多くの人に伝えるにはどうすればいいか。そう悩んでいたとき、趣味人倶楽部のコミュニティページに辿りつきました。所属されているユーザーの方々が50代や60代の年齢層が多いことを知り、弊社のターゲットと合致していましたのでご相談させていただきました。

菊川(OST):ご依頼をいただいた当時のお話しでは、単にグランポレールという商品そのものをターゲットへ広めるだけでなく、その飲用シーンがイメージできる演出も大切にされたいということでしたね。弊社がご提案させていただいなかでも、単純にバナーや広告としてお客様に見てもらうのではなく、「今日の晩酌」というテーマのフォトコンテストという案を選択されたのは、ユーザーが飲用シーンのイメージをしやすく、一番訴求力が高いと判断されたからではないでしょうか。

高久(SAP):はい。おっしゃられる通りです。やはりグランポレールの魅力をより伝えられるのは、「ユーザー参加型」のイベントが最適だと判断したからです。お客様に直接コミットいただくことで、商品への愛着もわくであろうと思い選ばせていただきました。

菊川(OST):実際にそのユーザー参加型のイベントを実施されてみて、お客様の反応はいかがでしたか。

高久(SAP):課題でもあった認知度は広がったのではないかと感じています。投稿されたみなさんの様子を見ていてわかったのが、シニア世代の方々でも、日常的にお酒を楽しまれているということ。今後この世代へのアピールを、さらに強化していく必要があると実感させられましたね。

▲フォトコンテストで趣味人倶楽部に投稿された「今日の晩酌」の写真(一例)

菊川(OST):コロナ禍ということもあってか、みなさん写真をご自宅で撮られている方が多かったですよね。ライフスタイルが変化したことで、外食の代わりに自宅での食事をランクアップして高級なワインと一緒に楽しまれる、という様子が伺えました。

若者世代の場合はインスタグラムやTwitterなど、SNSで口コミや反応が確認できます。しかし中高年やシニア世代の場合は、そういった反応を集めることが難しいとおっしゃられる企業様が多いです。サッポロビール様の場合も、弊社のコミュニティによってその辺りの課題解決に寄与できたのではないかと考えています。

高久(SAP):その通りだと思います。趣味人倶楽部のコミュニティサイトにあげられた写真の数が200投稿数を越えたことには、大変驚かされました。事前アンケートでは、そもそも日本ワインを飲んだことがないという声も多かったのですが、キャンペーン実施後のアンケートや寄せられた投稿を見てみると、グランポレールが海外のコンクールでも金賞を獲得しているなど、受賞歴をアピールしたことで、ブランドワインという商品価値がしっかり伝わり、安心感や信頼感を持っていただけたようです。みなさんが料理とのペアリングを楽しまれている様子が伺えて、この企画を実施して正解でしたね。このようなオンラインイベントはコロナ収束後にも続けていきたいです。

ワインは「嗜好品」であるだけでなく深い趣味で人が出会いつながる「社交品」でもある

菊川(OST):若者世代のビール離れが懸念される現代社会で、飲みやすさを追求されたりシーンを訴求されたりと、サッポロビール様でもいろいろ工夫されていますが、高齢化社会におけるプロダクトや今後のビジョンなどはどのようにお考えですか。

高久(SAP):趣味やものへの時間と費用をかけられる方が多いのは、中高年からシニア世代だと思っております。ワインの味や産地にこだわり、趣味としても深く楽しまれる方が多いシニア層の獲得は、今後ますます重要です。そのため、シニアをターゲットにしたイベントやPR活動を積極的に行っていく予定です。特に年齢も性別も関係なく全国各地から自由に参加できるというオンラインイベントは、積極的に取り入れていきたいところです。

菊川(OST):なるほど、単純な食事ではなく、趣味として深いという点はシニアにも相性が良さそうで、興味深いですね。クラフトビールなども趣味領域ではありますが、ワインの方が奥深さや学びがいがあるのかも知れませんね。

高久(SAP):そうですね。ワインは栽培から醸造までのストーリー性がある飲み物です。お酒というと、健康には悪そうなイメージを持たれる人も多くいらっしゃいますが、趣味として学びの場として、またはコミュニケーションツールとしてお酒を親しんでいただけたらと思いますね。そのためにはコロナ後も、収穫体験や収穫祭などのリアル体験も再開していきたいと思っています。

菊川(OST):いいですね。コアなユーザーに趣味や学びとしてワインを楽しんでもらうことで口コミが広がっていく。一方で、初心者でなかなか一歩を踏み出せないという人達にも、日本ワインを抵抗感なく楽しんでもらえるという場を提供していくのも面白いと思います。趣味人倶楽部では、同世代の出会いや人のつながり部分を提供しているので、深く楽しめる趣味としても、コミュニケーションツールとしても、今後お酒を介して人との横のつながり部分に広く価値を提供していきたいですね。

高久(SAP):そういった意味では、インフルエンサーを使った戦略よりも趣味人倶楽部様のユーザーの方々に、リアルに体験した内容を投稿していただいたことが、認知度拡大への効果が大きかったのだと実感しております。

菊川(OST):ありがとうございます。趣味人倶楽部は日々の投稿促進によって、半年間で2000万PVから3000万PVへと上昇しています。その積み重ねが、弊社としても大きく寄与できたのではないでしょうか。サッポロビール様にも満足いただける結果が出せたことは、弊社も喜ばしいことです。

菊川(OST):最後に、弊社では「エイジングエネルギー溢れる社会を作る」というミッションをかかげています。アンチエイジングという言葉があるようにエイジングという言葉は、悪いイメージを持たれがちです。しかし弊社では、歳を重ねるにつれて得られた経験値や知的好奇心など、ポジティブなエネルギーに着目していこうと考えています。高久様はエイジングエネルギーという言葉をどのように捉えられますか。

高久(SAP):シニアの方々は、積極的に外に出て活動したりイベントに参加されたりと、活発に過ごす人が多いです。そういう老後の趣味としての時間やコストをかけられる余裕にこそ、エイジングエネルギーがあるのではないかと考えます。コロナ終息後は、そのようなアクティブシニアの方々に積極的にお店でお酒を楽しんでいただいて、日本経済の活性化につながることを期待したいですね。