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公開日: 2026.07.31

更新日: 2026.07.31

遺贈寄付の集客で成果を出すには?見込み寄付者を増やす施策と成功のポイント

「遺贈寄付」という言葉を目にする機会は、この数年で確実に増えました。終活への関心が広がるなか、財産の一部を社会に役立てたいと考える人も目立ちます。

一方で、団体が資料請求や相談を安定して集めるのは簡単ではありません。遺贈寄付は検討期間が長く、寄付先の信頼性や寄付金の使い道、相談体制まで慎重に見極められるためです。

成果を左右するのは、広告で問い合わせを増やす工夫だけではありません。見込み寄付者の理解を深め、長期的な関係を築く設計です。本記事では、集客が難しい理由から、ターゲットの捉え方、具体的な施策、成果につなげるポイントまでを順に整理します。

遺贈寄付の集客が難しい理由

遺贈寄付は、通常の寄付や商品・サービスと違い、認知から実行までに長い時間がかかります。本人の価値観だけでなく、家族や相続、税務、団体への信頼など、絡み合う要素が多いためです。

まずは、集客でつまずきやすいポイントを押さえておきましょう。

認知されても仕組みまでは理解されていない

日本承継寄付協会が2025年11月に実施した全国調査では、遺贈寄付の認知度は63.8%、70代では84.5%に達しました。名称そのものは、着実に広がっています。

ところが、具体的な内容まで理解している人は7.4%にとどまります。「言葉は知っているが、自分にもできる方法だとは思っていない」という段階の人が大半を占めるわけです。

集客では、名前を知らせるだけでは足りません。次のような疑問に、ひとつずつ答えていく姿勢が求められます。

  • 財産の一部だけでも寄付できるのか
  • 家族に財産を残したうえで、余った分を寄付できるのか
  • 現金以外の財産も対象になるのか
  • 遺言書はどう準備すればよいのか
  • 寄付した財産は、何に使われるのか

出典:日本承継寄付協会「遺贈寄付に関する実態調査(2025年度)」

検討期間が長く、短期的な成果を測りにくい

遺贈寄付は、広告を見た人がその場で申し込むものではありません。情報収集に始まり、資料請求、家族との相談、専門家への相談、遺言書の作成と、いくつもの段階を踏みます。

そのため、問い合わせ件数だけを追いかけると、施策の良し悪しが見えるまでに時間がかかりすぎてしまいます。

資料請求数、セミナー参加率、相談への移行率、寄付意向の表明といった中間の指標を設定しておくと、途中経過を確かめながら改善を進められます。

集客前に整えておきたい遺贈寄付の受入体制

広告やコンテンツを充実させても、問い合わせを受けた後の対応が定まっていなければ、信頼にはつながりません。遺贈寄付は寄付者本人が結果を見届けられないため、団体の姿勢が通常の寄付以上に問われます。

情報発信を始める前に、まず足元の体制を整えましょう。

受け入れ可能な財産と条件を明確にする

遺贈寄付の対象には、現金や預貯金のほか、有価証券や不動産などがあります。ただし、どの団体でもすべての財産をそのまま受け取れるわけではありません。

財産ごとに、確認しておきたい点は次のとおりです。

財産の種類 受け入れの主な留意点
現金・預貯金 評価や換価の負担が少なく、比較的受け入れやすい
不動産 老朽化、境界、権利関係、売却可能性、維持費などの確認が必要
有価証券 価格変動、名義変更、未上場株式の換価可能性を確認
美術品・貴金属 鑑定、保管、売却にコストがかかる

不動産や有価証券のように扱いが難しい財産は、遺言執行者が売却し、現金化してから寄付を受ける「換価型」という方法もあります。
特定遺贈と包括遺贈の違いも含め、対応できる範囲をあらかじめ決め、判断に迷う部分は弁護士や税理士と連携しておくと安心です。

税務面も押さえておきましょう。相続財産を申告期限までに一定の公益法人や認定NPO法人などへ寄付すると、要件を満たせば相続税の対象とならない特例があります。
一方、値上がりした不動産や株式を法人へ寄付する場合は、時価で譲渡したものとみなされて所得税がかかる「みなし譲渡課税」が生じることもあります。
扱いは寄付先や財産で変わるため、税理士への確認を前提にしておくと確実です。

出典:国税庁「相続財産を公益法人などに寄附したとき」 「国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人に財産を寄附したとき」

相談窓口と団体内の対応フローを決める

問い合わせが入ってから慌てないよう、誰がどう対応するのかを決めておきます。窓口、担当部署、承認の手順を明文化し、記録する情報は対応に必要な範囲にとどめます。

Webサイトに活動内容や財務情報、寄付金の使途、相談後の流れを載せておくと、検討者の不安が和らぎます。全国レガシーギフト協会も、受入準備や情報発信、寄付者・家族とのやりとりを、遺贈寄付に取り組む際の基本的な準備として挙げています。

出典:全国レガシーギフト協会

遺贈寄付の見込み寄付者をどう捉えるか

ターゲットを「高齢の富裕層」とだけ思い描くと、本来届くはずの層を取りこぼしてしまいます。資産の多さよりも、これまでの寄付経験や地域とのつながりに目を向けると、対象は大きく広がります。

資産額だけで対象者を限定しない

日本承継寄付協会の2025年度調査では、回答者の44.5%が「保有資産の1%以上を遺贈寄付に充てたい」と答えました。保有資産100万円以上5,000万円未満の層でも、平均55.5%が前向きな意向を示しています。

遺贈寄付は、一部の資産家だけのものではありません。「財産のすべてではなく、一部から始められる」と伝えることが、間口を広げる第一歩になります。

ただし、これは意向を尋ねた結果であり、実際の実行率とは異なります。数字をそのまま成果の見込みと捉えないよう注意しましょう。

既存寄付者や支援者を有力な対象として考える

寄付経験の有無で見ると、傾向はより鮮明になります。財産の一部、または一定割合を遺贈することを検討している層では、過去に寄付をした経験がある人の割合が高いという結果でした。すでに寄付をした経験がある人ほど、遺贈寄付にも一歩踏み出しやすいと考えられます。

会員やボランティア、これまでの寄付者など、団体をすでに信頼している人たちは有力な対象です。通常の寄付から、少しずつ関心を深めてもらう流れをつくりましょう。

地域とのつながりも寄付先選びの軸になる

寄付先の選び方にも、はっきりとした特徴が表れています。遺贈寄付を検討する人の50.3%が「今住んでいる地域、または生まれ育った地域の団体を応援したい」と回答しました。地域への愛着が、寄付先を選ぶ理由になっているのです。

地域で活動する団体は、活動エリアや支援している人、地域にもたらした変化を具体的に示すと共感を得やすくなります。全国規模の団体でも、地域ごとの活動や使い道を見せることで、身近な存在として映ります。

遺贈寄付の見込み寄付者を集める6つの施策

遺贈寄付では、ひとつの媒体に頼るのではなく、認知・理解・資料請求・相談という段階に合わせて複数の接点を用意します。ここでは代表的な6つの施策を紹介します。

WebサイトとSEOコンテンツを整備する

検討を始めた人の多くは、まず自分で検索し、Webサイトで情報を集めます。遺贈寄付の仕組みや寄付先の選び方、手続き、よくある質問といった記事をそろえ、団体の活動や受入条件、使い道もあわせて載せておきましょう。

記事の終わりには、資料請求や相談ページへの案内を置きます。読んだ流れのまま次の行動へ進める導線が理想です。

検索広告やSNS広告を活用する

検索広告は、すでに遺贈寄付や相続財産の寄付を調べている顕在層に届きます。一方のSNS広告は、終活や社会貢献、地域貢献に関心のある潜在層との出会いをつくります。

どちらの場合も、いきなり相談を求めるのではなく、資料請求を中間のゴールに置くと、検討者の心理的なハードルが下がります。

パンフレットや資料請求の導線を設ける

「まだ決めていないが、詳しく知りたい」。そんな段階の人にとって、電話や個別相談は少し重く感じられます。資料請求は、その手前でそっと受け止める入り口になります。

基礎知識や団体の活動、寄付金の使途、手続きの流れをまとめた冊子を用意しましょう。送付後は、本人の同意を得たうえで活動報告や相談会を案内します。

新聞・雑誌・会報誌などの紙媒体を活用する

シニア層との接点は、Webの中だけにあるわけではありません。新聞や雑誌、会員誌、団体の会報など、手元に残して読み返せる紙媒体も有効です。

紙面には、電話・はがき・Webフォームなど複数の連絡手段を載せておきます。募集の告知だけでなく、寄付によって実現できる活動まで伝えると、行動につながりやすくなります。

終活・相続セミナーや相談会を開催する

制度や家族、財産が絡む遺贈寄付は、文章だけでは伝わりきりません。セミナーや相談会は、その場で疑問を解消できる貴重な機会です。

終活や遺言、相続、地域貢献など、参加しやすいテーマを入り口にし、弁護士や司法書士、税理士といった専門家と組みます。終了後は、資料の提供や個別相談へ自然につなげましょう。

既存寄付者や外部の専門家と連携する

既存の寄付者には、将来の選択肢のひとつとして遺贈寄付を案内します。士業や金融機関、終活関連の事業者には、団体の受入方針や活動資料を共有しておきましょう。

専門家は、相続の相談を受けた際に寄付先を紹介する立場にあります。共同セミナーや勉強会を通じて関係を育てておくと、自然な紹介が生まれ、新しい見込み寄付者との接点になります。

遺贈寄付の集客を成果につなげる3つのポイント

見込み寄付者を集めただけでは、相談や意向にはつながりません。集めた後にどう向き合うかで、成果は大きく変わります。

認知獲得と理解促進の施策を分ける

広告や新聞は「知ってもらう」ため、SEO記事やパンフレットは「理解してもらう」ため。このように施策の役割を分けて考えます。名前が広まっても、仕組みが伝わっていなければ相談には進まないからです。

情報は、次の三段階に分けて整理すると伝わりやすくなります。

  • 関心を引く導入的な内容
  • 基礎を理解してもらう内容
  • 具体的な検討を後押しする内容

相手の段階に合わせて、伝える量と内容を変えていきましょう。

本人の価値観と団体への信頼を重視する

遺贈寄付では、金額の大きさよりも「自分の思いを未来に残せるか」が心を動かします。活動の実績や財務状況、寄付金の使い道、これからの方針を公開し、信頼を少しずつ積み上げていきます。

大切なのは、本人の意思とペースを尊重する姿勢です。不安をあおる表現や、しつこい追客はかえって逆効果になります。検討の末に「今回は見送る」という判断も、そのまま受け止めましょう。

長期的にナーチャリングする

遺贈寄付は、最初の接点から実行まで数年かかることも珍しくありません。認知、資料請求、セミナー参加、個別相談、意向の表明といった段階を描き、それぞれにふさわしい情報を届けます。

評価するのは、問い合わせ件数だけではありません。相談への移行率や、継続して接点を保てている割合まで見ていくと、長い検討期間のなかでも手応えを確かめられます。

まとめ

遺贈寄付の集客では、名前を広めるだけでなく、仕組みへの理解と団体への信頼を育てることが軸になります。

対象は富裕層に限りません。既存の寄付者や、地域とのつながりを大切にする人まで視野に入れて考えます。そのうえで、SEO・広告・紙媒体・資料請求・セミナー・専門家との連携を、段階に応じて組み合わせていきます。

集めた後は、本人の意思を尊重しながら情報を届け続け、中間指標を手がかりに長い目で成果を見ていく。この積み重ねが、安定した相談や寄付へとつながります。

シニアマーケティングならオースタンス

遺贈寄付の集客では、年齢や資産額といった表面的な属性だけでは見えてこない、シニア層の価値観や暮らし、家族との関係、情報の集め方まで理解することが欠かせません。同じ70代でも、新聞や電話を頼りにする人もいれば、検索やSNS、オンラインセミナーを使いこなす人もいます。

オースタンスは、日本最大級のシニアコミュニティ「趣味人倶楽部」の運営で培った知見をもとに、アンケートやインタビューによるインサイトの把握から、ターゲット設計、コンテンツ企画、セミナーやコミュニティを通じた接点づくりまでを一貫して支援しています。

遺贈寄付では、広告による短期的な問い合わせだけでなく、まだ検討していない潜在層との接点づくりや、資料請求後の丁寧なコミュニケーションが成果を左右します。自団体だけでターゲットの理解や施策の設計を進めるのが難しいと感じたときは、シニアマーケティングの知見をもつ外部パートナーに相談してみるのもひとつの手です。

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