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公開日: 2025.07.31
更新日: 2027.07.31
メールマーケティングの効果を大きく左右するのが「件名」です。 一見当たり前のように聞こえますが、実際には“なぜこの件名がよくて、あれは響かなかったのか”を構造的に把握できているケースは多くありません。
今回、弊社が運営しているシニア・中高年向けSNS「趣味人倶楽部」にて、シニア会員を対象に行ったアンケート型メール配信において、全く同じ内容のメールで複数の件名パターンをABテストしました。
その結果、開封率やクリック率に最大2倍以上の差が生まれるなど、件名によってユーザーの行動が大きく変わることが明らかになりました。 本記事では、そのABテストで得られた実データをもとに、
を構造的に整理・解説します。
私たちがこの件名検証を実施した背景には、日々のメルマガ施策で感じていた3つの違和感がありました。
こうした背景から、「どんな件名が行動につながるのか?」を開封〜クリック〜回答の3ステップで可視化すべく、ABテストを企画しました。
メールマーケティングでは、「読まれる」「クリックされる」「行動される」という一連の流れが設計されています。つまり、読み手(シニア)の行動を生むには、件名や本文だけでなく、構造全体を理解したうえで設計する必要があります。
■一般的なメールマーケティングの構造(CV:申込・購入など)
まず、一般的なメールマーケティングの構造を見てみましょう。
今回の検証では、最終的な目的行動(CV)が “アンケートへの回答” に設定。そのため、③の「行動」の設計が一般的なマーケティング施策とは異なります。
■今回の検証における構造(CV:アンケート回答)
なお、私たちオースタンスでは、この構造を踏まえて開発した “アンケート型CV獲得メニュー”を企業向けに展開しています。
リード獲得や生活者インサイトの収集、ブランド接点づくりなど、成果を出しやすい設計として評価をいただいています。
2025年7月に実施した配信では、住宅関連のテーマにて、5パターンの件名でAB配信を行いました。その結果、最も高いクリック率(配信比0.591%)を記録したのがこちらの件名です
◢◤たった3分のアンケート|謝礼あり◢◤[サービス名]についてご意見をお聞かせください![PR]
なお、本文の内容はほとんど変えておらず、大きな違いは件名のみです。 したがって、今回の結果は「件名によってどれほど反応が変わるか」という点に絞った検証といえます。
今回のABテストでは、本文が完全に同一であったにも関わらず、件名だけで開封・クリック・回答に明確な差が生まれました。
特徴的だったのは、件名のわずかな言い回しや構成の違いが、ユーザーの心理に大きく影響を与えていた点です。ここでは、検証から得られた3つの重要な示唆を整理します。
① 謝礼訴求よりも「たった3分」が刺さる
最も高いクリック率(配信比0.591%)を記録したのは「たった3分のアンケート|謝礼あり」という件名でした。
この結果から、「時間がかからない」ことを明示する“時短訴求”が、開封・クリックの心理的ハードルを下げる要因になったと考えられます。
特にシニア層においては、若年層のような「効率よく得したい」というような“タイパ志向”ではなく、「面倒なことは避けたい」「難しそうだと感じたら手を出したくない」という、いわば“負担回避”型の思考が特徴的です。
だからこそ、「3分でできる」「選ぶだけ」など、手軽さや負担の少なさを感じさせる表現は、想像以上に効果的だったといえます。
② 謝礼の“有無”は開封率にほとんど影響しない
「謝礼あり/なし」のABテスト結果を見ると、開封率は最大でも1%未満の差にとどまりました。
これはつまり、“謝礼があるから開封する”というよりも、“開封する人は一定数、習慣的に開封している”ことを示唆しています。
この結果からは、インセンティブによる訴求よりも、“テーマ設定”など別の要素が、開封率により強く影響している可能性が示唆されます。
③ 謝礼訴求は「クリック・回答」を後押しする
一方で、謝礼ありの件名は、クリック率・回答率の両方で良い数値となりました。これは、すでに開封した読者の中で、普段は反応しない層に対しても、行動を促す“後押し”として謝礼が効いたと考えられます。
とはいえ、「謝礼だけが目的で動いている」と単純化すべきではありません。
むしろ、「参加する理由づけの一つとして謝礼がある」という位置づけで理解することで、適切なターゲティングと訴求が可能になります。実際に、本施策からアンケートを経て商品購入に至った事例も確認されており、謝礼が“きっかけ”として機能しうることがわかります。
今回の検証から、件名の設計ひとつでシニアの行動は大きく変わることが明らかになりました。生活文脈に寄り添い、“自分ごと化”された表現が反応を高める鍵となります。
趣味人倶楽部では、普段「健康」「老後の住まい」「働き方」「趣味・習い事」「終活」など、シニアの生活に密着したテーマを中心に、多様な広告を展開しています。
アンケート形式の訴求や、特典付きキャンペーンなどを通じて、生活者との接点を自然に生み出す設計が好評をいただいています。 以下は、直近1〜2ヶ月間で配信されたメール広告の一部を、件名ごとの開封率順にまとめたものです。
このように、趣味人倶楽部ではシニアユーザーの関心に沿ったテーマを多角的に取り扱っており、広告出稿やCRM施策の設計・運用もご支援可能です。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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