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公開日: 2024.09.09
更新日: 2024.11.22
高齢者になると、身体の自由が利きづらくなったり、収入面においても何かと不安になることが多くなります。そのため、日常生活で困りごとが増える傾向にありあす。高齢者が快適に日常生活を送るためには、さまざまな困りごとを解決する必要があります。 ここの記事では、高齢者が困っていることをランキング形式で紹介しつつ、シニア世代の悩みごとと対処方法について解説します。
朝日新聞Reライフプロジェクトの「老後の備え」アンケートによると、回答者の97%が将来の生活に不安を感じているそうです。もっとも不安を感じるのは健康面で、特に「自分が病気になること」が76%と高い傾向でした。また、約20%の方が老後の準備をしていないと回答し、「何から手をつければよいのか」という悩みも寄せられました。ここでは、高齢者の困っていることランキングを1位から8位までご紹介します。
参考:朝日新聞 Reライフ.net つながる。変わる。人生ここから/97%が老後の生活に不安 「何からどこから手をつければ」悩みも「老後の備え」アンケート結果(上)
高齢者の生活における最大の不安要素として、「病気に対する不安」が挙げられます。朝日新聞Reライフプロジェクトの「老後の備え」アンケートでは、76%の方が、将来の生活について不安に感じることとして「自分が病気になること」と回答しています。 また、内閣府の調査では、65歳以上の人々の死因として「悪性新生物(がん)」がもっとも多く、次いで「心疾患」「老衰」の順となっています。高齢になるとこれらの病気に罹患するリスクも高まり、病気に対する不安を抱く高齢者が多いのも納得できます。
参考:令和6年版 高齢社会白書
高齢者が将来の生活について不安に感じることの2番目は、「介護が必要になること」です。実際のデータからも、高齢者の間で要介護者の数が増加していることがわかります。 内閣府の調査によると、介護保険制度における要介護または要支援の認定を受けた方(以下、要介護者等)は、2020年度には668万人に達しており、2011年度の490万人から178万人の増加となっています。 介護が必要になることは、これま出来ていたたことが出来なくなるなど自立を失うことへの恐怖や、家族や友人に負担をかけることへの心配にもつながることから高齢者の不安となっていことが考えられます。
参考:令和6年版 高齢社会白書
「認知症」に対して不安を抱く高齢者も多い傾向にあります。 同アンケートでは、「認知症を患うこと」に対する不安が68%と3番目に高く、健康面への不安の中でも上位に位置しています。
日本国内における認知症患者数は、依然として増加傾向です。2023年時点で、65歳以上の高齢者の認知症患者数は600万人を超えており、このままのペースで進むと、2040年には約800万人、2060年には約850万人に達すると推定されています。また将来の予測によると、認知症の総数は2020年の964万人から、2070年には2,828万人へと増加し、この50年間で男女ともに認知症患者数が約3倍に増える見込みです。
認知症は、自己の意識や記憶、思考能力などが低下し、日常生活に影響を及ぼす病気です。認知症になることで自分の存在が曖昧になる恐怖や、家族や友人など周囲の人々に与える影響への心配から不安に感じている高齢者の方も多いのではないでしょうか。
参考:令和6年版 高齢社会白書
同アンケートの4位は、「社会とのつながりが希薄になる」ことが不安だと感じる高齢者が33%でした。高齢者は退職すると、職場という社会的なつながりが失われ、孤独だと感じることと関係もありそうです。 内閣府の2023年の調査では、65歳以上の労働力人口は増加傾向にありますが、年齢が高くなるにつれて就業率は低下します。70~74歳では34%だった就業率も、75歳以上に限定した場合11.4%まで低下します。 退職した人の中には、職場や取引先の人の人々の交流がなくなり、社会の一員であることの実感が薄れていくことへの不安を抱く人もいるのではないでしょうか。
参考:令和6年版 高齢社会白書
同アンケートでは、約33%の高齢者が「収入が減少すること」に対する不安を抱いていることがわかりました。退職後に定期的な収入が減少し、生活費の確保が難しくなることに起因しています。
内閣府の調査によると、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成されるか、またはこれに18歳未満の未婚者が加わった世帯)の平均所得金額は312.6万円で、全世帯の平均所得金545.7万円の約57%になります。 また、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が家計収入の100%を占めている世帯は約44%になり、年金の減額や増税などにより手元に残るお金が減少する可能性に不安を感じている高齢者もいると考えられます。
高齢者の困っていることランキングの6位は「老後資金の不足に対する不安」です。32%の高齢者が将来の不安として「資産が予定より早く枯渇してしまうこと」と回答しました。 この不安感は「老後2,000万円問題」とも関連していると考えられます。この問題は、金融庁が2019年に提出した報告書で「老後20~30年間で約1,300万円~2,000万円が不足する」という試算が注目を集めたものです。 さらに日本の物価も上昇傾向にあり、これが老後の生活費を増加させ、老後資金の不足を一層深刻化させています。統計局のデータによれば、2024年6月の消費者物価指数は、2020年を基準に108.2となり、前年同月比で2.8%上昇しているそうです。このような背景から、老後に4000万円必要になるといった意見も聞こえるようになり、不安に感じる高齢者も増えてきているのではないでしょうか。
同アンケートによると「仕事ができなくなること」に不安を感じている高齢者も一定数存在します。高齢者が体力の衰えやスキルの陳腐化により、仕事を続けることが難しくなるためです。
3位の項目でも説明したとおり、65歳以上の労働力人口は増加傾向が続いています。また完全失業率を見ると、60~64歳では、平成23年以降低下傾向にありましたが、令和3年には新型コロナウイルス感染症の影響により、3.1%に上昇しました。しかし、65~69歳では令和3年の2.7%から令和5年には2.5%に、70歳以上では令和3年の1.2%から令和5年には1.1%に、それぞれ低下しているそうです。
高齢者の困っていることランキングの8位は「相続問題や財産分与の悩み」です。高齢者が自身の財産をどのように分配し、相続をどのように進めるべきかについての不確実性が不安の理由だといえます。
一方で、高齢者の間で「老後の備えで準備・検討していること」についてのアンケート結果を見ると、多くの高齢者が相続や財産分与に向けた準備を進めています。具体的には、自身の死後の手続きや財産の分配について記録した「エンディングノートの作成」を行っている人が34%、「財産をまとめておく」ことを行っている方が31%いるそうです。 相続や財産分与に関する不安を持ちながらも、準備を進めている高齢者も多いようです。
高齢者になると、日常生活においてなにかと困りごとが増えるものです。ここでは、おもな困りごとを確認しておきましょう。
高齢者は体力の衰えにより、日常的な家事が困難になることがあります。筋力が衰えることによって重い物を持ち運ぶゴミ出しや買い物が大変に感じたり、足腰が弱ることで料理や掃除といった家事に苦労するようになることもあるようです。
高齢になると視力と聴力が低下していきます。目と耳が悪くなると、本や新聞が読みにくくなったり、テレビが見にくくなったりなど、日常生活にも支障が出てくるようになります。
高齢者は噛む力が衰えるため、食事が偏る傾向があります。歯の悪化や噛む力の低下により、硬い食べ物が食べられなくなります。また飲み込む力も弱まり、食事中にむせることも多くなる傾向にあります。 食事の楽しみを保つために、軟らかい食材や栄養バランスの取れた食事を摂ることが大切です。
高齢者の不安を解消するためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、高齢者が困っていることへの解決方法を3つご紹介します。
高齢者が抱えるさまざまな困りごとでは、解決策の1つとして「運動する習慣を持つ」ことが挙げられます。身体的な健康維持にとどまらず、さまざまな面で高齢者の生活を支える重要な要素になります。
定期的な運動は免疫力の向上に寄与し、風邪や感染症に対する抵抗力を強化します。また、運動は認知症の予防にも効果があるとされています。適度な運動は脳の血流を改善し、脳機能を維持することで、認知機能の低下を防ぐ助けになります。
さらに、運動は単に身体の健康にとどまらず、社会的なつながりを形成する手段としても非常に有効です。運動を通じてコミュニティに参加することで、孤立を防ぎ、新たな友人や仲間を作る機会を得られます。例えば、ウォーキンググループやシニア向けのフィットネスクラスは、健康維持とともに社会的な交流の場を提供します。これにより、孤立感や孤独感を軽減し、精神的な健康も支えることが可能です。
株式会社オースタンスの「シニアトレンド白書2023~アクティブシニアの消費行動~」によると「健康のために普段の生活で心がけていることはありますか?」という質問に対し、77.6%の高齢者が普段から健康のために「適切な運動」を心がけていると回答しています。この結果は、多くの高齢者が運動の重要性を認識し、実際に行動に移していることを示しており、彼らの生活における運動の大きな役割を示唆しているといえるでしょう。
高齢者が安心して暮らすためには、サポートサービスを活用することも有用です。具体的には、見守りサービスや生活支援サービスなどが挙げられます。
見守りサービスとは、高齢者の安否確認や緊急時の対応を担当するサービスです。例えば、自宅にセンサーやカメラを設置し異常を感知した場合、セキュリティ会社が対応してくれるサービスがあります。その他にも、デイサービスや訪問介護を活用することも一種の見守りサービスになります。また費用的に難しい場合は、地域ボランティアによる見守りサービスも検討してみるといいかもしれません。 生活支援サービスは、高齢者や障がいのある方ができる限り自立して地域で生活できるように支援するためのサービスです。具体的には、買い物や掃除、料理などの家事を行って日常生活をサポートするサービスだったり、自分でできることを増やすためのトレーニングや指導をする自立訓練などもあります。また、高齢者のサークルやボランティア活動への参加を促進し社会とつながる支援を行う、社会参加支援などもあります。
資産運用は、老後の金銭的な不安を解消するための有効な手段の1つです。老後の生活においては、年金や貯蓄だけでは十分な収入を確保できない場合があるため、資産運用によって資産を増やし、将来の経済的安定を図れます。 株式会社オースタンスの「2024年暮らしシニアトレンド白書」によると、50歳から65歳の間に資産運用を始める人も多く、さらに65歳以上になってから資産運用を始める人もいることがわかっています。これらの世代の人々は、リタイア後の生活費や医療費などの支出をカバーするために、資産運用を活用しています。
特に、50歳から65歳の間に資産運用を開始することは、退職前の最後の貯蓄機会として重要です。この期間は、働きながら追加の資金を運用に回すことで、老後の生活を豊かにする資産を形成する絶好の機会だといえます。一方、65歳以上で資産運用を始める場合でも、慎重なリスク管理と適切な投資戦略によって、生活の質を向上させることが可能です。
高齢者が抱えるおもな困りごとは、健康やお金、社会的つながりの喪失、筋力の低下や足腰が弱くなることによる日常生活の支障など多岐にわたります。 運動習慣の確立やサポートサービスを活用することは、これらの不安を解消し高齢者がより自立した生活を送る手助けとなります。また金銭面では、資産運用が老後の経済的安定を支える手段となります。本記事の内容を参考に、高齢者の不安を払拭するサービスを検討し、ビジネスにつなげてもらえれば何よりです。
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