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公開日: 2023.06.01

更新日: 2024.07.26

シニアはSDGsをどう捉えているのか?環境への意識調査レポート

調査の背景

今日、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が注目され、ニュースや新聞でも頻繁に取り上げられている。SDGsは国連サミットで採択された国際目標であり、より良い世界の実現を目指すものだ。
具体的には環境保護や国際支援など17項目の目標が設定されており、これは政府だけでなく企業や個人にも関わる重要な取り組みであると言えよう。

現在、環境問題は深刻化し、異常気象や人権問題が日々報道されている。特に地球温暖化は、2021年に国際連合気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した報告書によれば、人間の活動が主な原因であるとされている。

こうした背景を踏まえ、私たちはシニア世代がSDGsにどれだけ認知し、実際の日常生活にどのように取り組んでいるのかを調査することとした。
シニアがSDGsに対してどのような意識を持ち、具体的な行動を取っているのか、全国のシニア約600人に実施したアンケート結果をまとめる。

約9割のシニアが SDGsを 認識し、7割以上が関心を持っている

まずはじめに、シニアの認知度と関心について調査した。

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回答者の89.8%がSDGsという言葉を知っているという結果に。
さらにSDGsに関心があるかどうかという質問に対しては、72.4%が関心があると回答した。

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SDGsに関心を持ったのは環境問題や食品ロスがきっかけ

関心を持ったきっかけとして最も多かったのは、「環境問題に危機感を持ったから」(73.6%)。また、「食品ロスに危機感を持ったから」(53.3%)も多くの回答があった。
これは、シニアの中で持続可能な開発や環境保護に対する意識が高まっていることを示している。

さらに、「社会問題に危機感を持ったから」(32.8%)や、「元々社会や地球環境に貢献したいと思っていたから」(23.6%)という回答もあった。
これらの結果からは、個人の価値観や社会意識がSDGsへの関心に影響を与えていることが分かる。

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シニアがSDGsを意識した日々の取り組み

回答者の多くが、節電・節水を心がける(78.3%)やフードロスの削減(73.3%)、マイバッグやマイボトルの活用(72.0%)、再利用・リサイクルの積極的な実践(60.0%)を日常的に行っていた。
節水やマイバッグの持参など、生活や経済的に実利のあるものが選ばれる結果に。

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また、今後の取り組みに関する意識としては、特に節電・節水の心がけ(75.0%)やフードロスの削減(68.5%)、マイバッグやマイボトルの活用(62.0%)、再利用・リサイクル(58.5%)などの身近な取り組みに関しては、意識が強く向けられる結果となった。

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シニアが求めるSDGsの情報は「国や企業が行う取り組み」

シニアの72.4%が関心があると回答したSDGsだが、シニアは国や企業が行う取り組みについて最も知りたがっているということが明らかになった。

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シニアが好感を持つ企業の取り組みランキング

国や企業が行うSDGsの取り組みに関心のあるシニアだが、多岐にわたるSDGsの取り組みの中でも、どんな取り組みに賛同するのか。我々は追加で調査を実施し、約100名のシニアに対して、実際に行われている企業の取り組みに関する調査を行った。

まず、5つの企業が行っているSDGsの取り組みを企業名を伏せた状態で紹介した上で、好感の持てるものから順にランキングをつけてもらった。

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1位:D社

もっとも順位が高かったのはD社。
D社を1位に選んだ理由としては下記のようなコメントがあった。
「使い捨てでなく、再生利用することが、将来に向かって一番有効だと思うから。」(70代:女性)
「日常の生活で密接に関係する包装で効果が期待できるから。」(70代:男性)

一方でD社を最下位につけた回答者からは
「皆甲乙つけがたいがパッケージには多くの会社がすでに取り組んでいると思えるから。」(70代:男性)という意見もあった。

リサイクルなどの再利用は環境に対する積極的な貢献という印象を与え、多くの好感を得られていることがわかった。また、企業独自の取り組みを実施することも好感につながるポイントかもしれない。

2位:C社

C社を選んだ理由としては「将来を担う子供達にしっかりと教育しているし、プラスティックのリサイクルをしているから。」(60代:女性)
「未来を担う子供達へのワークショップを用いた教育と、リサイクル品をプレゼントするアイデアが素晴らしい。」(50代:女性)という声が多かった。

一方、C社を最下位につけた回答者からは下記のようなコメントがあった。
「大切なことですが効果が間接的」(70代:男性)「だいぶ以前から取り組んでいる事柄で、これからのSDGsの取り組みとは言えない。」(70代:女性)

次世代に対する教育を行っている点が高く評価されたC社。教育や身近な取り組みに共感するシニアが多いことがわかる。
一方で環境にインパクトの大きい施策を求める声もあるようだ。

3位:E社

E社を1位に選んだ理由としては「地球温暖化は深刻な問題のため、脱酸素の取り組みは重要」(70代:男性)「経済効果が大きそうだから」(50代:男性)などがあった。

対して、E社を最下位に選んだ回答者は「一見地域に貢献してる様に見えるが自社製品を売る為の活動に感じられる。」(50代:男性)「自社の製品開発の一環だから」(70代:女性)という意見も。

脱炭素の動きは、地球温暖化への直接的な取り組みとして高く評価をえたE社。しかし、自社商品の販売活動と受け取られてしまう場合は、好感を得られにくいこともあるようだ。

4位以下は下記のような結果となった。

4位:A社
A社を1位に選んだ回答者
「今 一番必要とされることだと思うから。」(70代:女性)
「これからの企業や社会が求められている基本的な仕組みに取り組んでいるから。」「70代:男性)

最下位に選んだ回答者
「LGBTとかジェンダーは大事な問題ではあるが地球環境を考えた時に効果は少ない。」(50代:男性
「自社内の目標を掲げているだけのように見受けられ社会に対する貢献度が低いと感じられる。」(60代:女性)

5位:B社

B社を1位に選んだ回答者
「ベトナムとの密接な関係構築も含めて好感が持てたから。」(60代:男性)
「国、地域特有の課題解決ができそうだと感じた」(60代:男性)

最下位に選んだ回答者
「他国のことも大切ですが、自国のことを考えてほしいと思います。」(70代:男性)
「ベトナムへの支援でSDGsを感じないから。」(70代:女性)

4位、5位にランクインした企業に関しては、取り組み自体は賛同を得られているものの、シニアの直接的な関心事ではなく、他の企業の取り組みに比べて順位がやや低くなった可能性が考えられる。

シニアが物を買いたくなる企業の取り組みランキング

続いて、SDGs対策を行っている企業の商品を購入したいと思う順にシニアがランク付けを行った結果をまとめる。

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結果は下記のような順位になった。

1位:I社
選んだ理由
「廃棄物を再生して循環して、大いに環境問題に取り組んでいる点が、よく理解できるから。」(70代:女性)
「土壌改良材に有効活用しているところが地球に優しいから」(60代:男性)

2位:G社
選んだ理由
「一番効率が良いと思う。」(70代:男性)
「具体的で無駄がない。」(70代:女性)

3位: F社
選んだ理由
「自社のみならず生産パートナーの労働環境や人権の尊重など、社会的配慮が素晴らしいから。」(70代:男性)
「働く人すべての労働条件や健康に配慮することで良い商品が出来ると思う。」(70代:男性)

4位:H社
選んだ理由
「プラスチックの削減量が大きいので」(60代:男性)

5位: J社
選んだ理由
「 こんな会社に勤めたいと思うような取り組みをしているので」(60代:女性)

D社は卵殻の有効活用や環境への負荷削減に取り組んでおり、サステナビリティの観点から高い評価を得た。次に、B社が自社製品の廃棄物を再活用し、廃棄物削減に取り組んでいる点が評価を得ることに。A社は労働環境や人権の尊重に重点を置いており、C社はプラスチックの削減や環境保護に貢献する取り組みが評価されたと言える。最後に、E社は社員の健康支援に取り組んでおり、他の企業と比較してやや低い順位となった。

シニアが企業の取り組みに対して好感を持つのは環境保護への取り組み

「SDGs(持続可能な開発目標)」が注目されている中、シニア世代のSDGsへの関心と取り組みについて調査を行った。回答者のほとんどがSDGsを認識し、72.4%が関心を持っていることがわかった。関心のきっかけは環境問題や食品ロスが多く、節電・節水、フードロス削減など、日常的にできる身近なSDGsに取り組んでいることも明らかに。さらに、シニアは国や企業のSDGsに関する取り組みに興味を持っており、環境への意識が高いことがわかった。特に環境保護に関する取り組みは好感が持たれ、商品購入につながることが多いようだ。また、企業独自の取り組みや、地域に根ざした取り組みなどは評価されることが多く、社内のみの取り組みや、海外への関心は高くないことが結果として明らかになっている。

■調査概要
環境・SDGsについての調査
調査方法:Webアンケート
調査対象:「趣味人倶楽部」会員
(50代以下1.3%、60代32.3%、70代以上52.7%)男性76.5%、女性23.5%
有効回答数:600人
調査日:2023年5月28日~6月1日

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