シニアDXラボのロゴ

MENU

レポートサムネイル

メガネの田中ホールディングス株式会社 チーフブランド&ビジネスビルディングオフィサー兼 聞こえの田中株式会社 代表取締役社長 渡邉知孝様 聞こえの田中株式会社 セクションチーフ 宮川拓磨様  株式会社オースタンス ソリューション事業部 ビジネスプロデュースユニット マネージャー 加藤達也 ※当時所属 株式会社オースタンス ソリューション事業部 デリバリーユニット 友重大輝 

公開日: 2026.02.27

更新日: 2026.02.27

補聴器市場の未顧客獲得に向けた定性調査を支援。単なる調査ではなく、インサイトの発掘から現場で使えるフレームワークへ昇華。

実施背景|日本の「聞こえ」のケアの現状を変えたい 85%の未顧客への挑戦

メガネの田中と聞こえの田中のビジョンミッション・スピンアウト背景

1913年に広島で創業し、全国に展開しているメガネ、補聴器、コンタクトレンズの販売・製造を行っているメガネの田中グループ。その中で、聞こえの田中株式会社は、聞こえのケア(補聴関連)専門企業として、2019年4月に事業を開始。 「聞こえ」の事業を独立させた背景には社内ベンチャーとして小回りを効かせ、実験的な取り組みをスピーディに展開するため。また、聞こえの田中で開発・市場実証した「新しいアプローチ」により、日本の「聞こえ」のケアの現状を変えるという大きなミッションがありました。

alt

渡邉様:日本では聞こえのケアによりQOL(生活の質)向上が見込める方のうち、実際にアクションを起こしている人はわずか15%程度。この数字は何十年も変わっていません。一方で諸外国は40〜50%。聞こえの悪化は認知症の最大リスクファクターでもあり、放置は社会的な繋がりを失う深刻な問題です。この「15%の壁」を壊すには、これまでとは違うアプローチが必要だと考えました。

オースタンスに依頼に背景

その「新しいアプローチ」の一歩が、今回の調査プロジェクトだったのですね

渡邉様: はい。リテール(店舗)ビジネスに携わっていると、来店されるお客様を通じて「自分たちは顧客のことをよく知っている」という錯覚に陥りがちです。しかし、実際に店舗へ足を運んでくださる方は、アクションを起こした「極めて稀な方」に過ぎません。 私たちは、店舗にいるだけでは決して出会えない、残りの「85%の未顧客(ケアをしていない層)」が何を考え、どんな生活を送り、どんなインサイトを抱えているのかを深く理解する必要がありました。彼らの本音を知らない限り、何十年も動かなかった普及率を動かすことはできないという、強い危機意識があったからです。

今までも様々な調査会社や広告代理店とも調査をされてきた経験もある上で、なぜオースタンスに依頼されたのですか?

渡邉様:決め手は、オースタンスさんが日々シニアの方々と深く接しており、実体験に基づいた「ユーザーへの肉迫の仕方」が圧倒的だったからです。 通常の調査会社はデータを集めるのが仕事ですし、広告代理店は施策を打つことがメインになりがちです。しかし、私たちが求めていたのは、そのどちらでもありませんでした。 「井の中の蛙」ともいえる私たちが判ったつもりになりがちな井戸の底深くに、また私たちだけでは見通し難い井戸の外に広がる世界に、私たちと同じ熱量と私たちとは異なる視点と強みをもって探求の旅に歩みだし、冷徹な視点と時には熱い討議も厭わず、心理モデルや仮説を考え、共に道を切り開き合えるパートナー。 そんな「一番の肝」となるインサイトの部分を、共に見つけ出してくれる存在だと感じたんです。単なる「調査案件」という枠を超えて、本気で一緒に悩んでくれる、発見の喜びを分かち合い、それを具体的な施策にまで結実させてくれる。そのスタンスこそが、他にはない魅力でした。

取り組み内容|未購入層のインサイト抽出と訴求軸の有効性検証

プロジェクトの設計指針:心理把握と実証検証の融合

本取り組みの最大の特徴は、「顧客インタビューによる心理背景の把握」と「市場での行動検証」をセットで実施した点にあります。 インタビューによって顧客の「発言・心理」に潜むインサイトを深掘りし、そこから導き出した仮説が実際の市場で「行動」として現れるかを測定しました。この両面を捉えることで、確実性の高いマーケティング戦略の構築を目指しました。 alt alt

フェーズ1:論点設定とインサイト抽出(定性調査)

まずは、オースタンスが論点設定から伴走し、QOL改善に有意な「聞こえのケア」、すなわち補聴器の適切な利用に至っていない「未顧客層・順顕在層」の解像度を高めるためのデプスインタビューを実施しました。

調査手法: ターゲット(当事者およびその子世代)計8名へのデプスインタビュー

被験者要件:聞こえのケアより改善が見込まれるレベルの聞こえの課題がありながら、利用に至っていない層

主要論点:聞こえのケアの検討を阻害する要素や検討のきっかけを特定し、言語化されていない潜在的なポイント(Push / Pull / Habit / Anxiety)を抽出 alt

フェーズ2:実態の考察と打ち手の仮説提案(マーケティング検証)

インタビューで得られた定性的なデータを踏まえ、単なる事実の整理に留まらない「マーケティング検証」を実施しました。今回は、インフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティング検証を実施しました。

実態の考察とインサイトの体系化: インタビューでの発言の背後にある心理的バリアや期待価値を深く考察し、ターゲットの未顧客層が検討を断念した理由や、前進するきっかけとなる「心のメカニズム」を特定しました。

コミュニケーション方針(打ち手)の策定: 考察結果を元に、どのターゲットに、どのような基準・観点でメッセージを届けるべきかという「打ち手の仮説」をアイディエーションし、具体的なコミュニケーション方針を策定しました。

このようにオースタンスは論点設定から実証までを一貫して伴走し、ターゲットの未顧客層理解の共通言語となる「メンタルモデル」を提言しました。このモデルがチーム全体の思考判断基準となったことで、組織全体で共通認識を持った施策展開が可能となりました。

結果・改善提案|顧客心理を4つの力のメンタルモデルで表現

alt

宮川様:今回の四象限モデルの考え方は、非常に面白いですね。一言で言うと、僕らがなんとなく『モヤモヤ』と感じていた暗黙知を、チーム全員で共有できる『形式知』へと昇華させてくれるフレームワークだと感じました。

このモデルの素晴らしい点は、汎用性の高さです。聞こえのケアに限らず、例えば極端ですが『なぜ会議がうまくいかないのか?』といった課題にも応用できる。心のブラックボックスに入っていた『なぜ人は動くのか』というメカニズムを可視化することで、お互いが理解し合えるモードへ引き上げてくれます。

特に重要だと感じたのは、現場への『動機付け』の質が変わることです。 店鋪のオペレーションを変えようとする時、会社都合の『利益が出るから』という理由だけでは、現場は動きません。たとえ動いたとしても、ジブンゴト化されていない行動は決して長続きしません。そうではなく、このモデルを使って『こういう行動をすれば、お客様の気持ちがこう動き、幸せになれるんだ』という顧客視点の理由を言語化して伝える。

自分たちの都合ではなく、お客様が『よし』と思ってくれる理由を論理的に説明できるか、ジブンゴトとして納得したうえでお客様の悩みや願望にプロとして真摯に向き合うことができるか。この『腹落ち感』を作れるかどうかが、この取り組みの、ひいては私たち自身の成否を分けるのではないかと確信しました。

alt

今後の展望|”聞こえ”から始まる、いろどりゆたかな人生を共に歩み始めてもらうための鍵をみつけたい

渡邉様:私たちは、「最高の聞こえ」から始まるいろどりゆたかな人生を、ともに歩むパートナーでありたいと考えています。その歩みを、一人でも多くの方とはじめ、続けられることが、私たちの願いです。

一方で、日本では残念ながら「聞こえのケア」に対する意識がまだ十分に高いとは言えません。聞こえの課題を抱えながらも、そのまま日常を過ごしている方が多く存在しているのが現状です。私たちは、そうした未顧客様が一人でも少なくなる社会を実現したいと考えています。

社会全体として、「聞こえることの喜び」から取り残されている人を、どうすれば減らしていけるのか。その問いに、私たちは日々向き合い、私たちの歩みは小さな一歩かもしれませんが、やがて私たちの未来が今よりもっといろどりゆたかになるよう、歩み続けています。

具体的に「何をすればよいのか」という点については、まだ確実な解決策が見えているわけではありません。だからこそ、お客様、そしてまだお客様になっていない方々のことを、これまで以上に深く理解する必要があると考えています。

未顧客様が「お客様になった瞬間」には、どのようなきっかけや体験があったのか。この取り組みでは多くの学びを得ることができましたが、それを一過性のものにせず、継続的に向き合い、問い続け、実証実験を重ねていくことが重要だと感じています。 そうした積み重ねの先に、何十年も変わらなかった日本の「聞こえ」に対する現状を変えるヒントがあるはずです。私たちは、その鍵穴にぴたりと合う“鍵”を見つけ出すために、これからも探究を続けていきます。

オースタンスでは、シニア世代向けマーケティング支援を数多く実施しており、「シニア×デジタル」という領域において多面的な知見を提供することが可能です。 私たちは、単なる調査結果の提供に留まりません。その先のデジタル広告活用やインフルエンサー施策など、 インサイトを具体的な成果へと繋げる施策まで、お客様のチームの一員として一貫した伴走型支援を行います。 ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

日本最大級のシニアSNS運営で培ったシニア事業開発・マーケティング支援

シニアビジネスリサーチサービス概要資料

シニアビジネスリサーチサービス概要資料

「シニアマーケティング」や「事業開発」に関して解説している資料を無料でダウンロード可能でございます。

半角英数字、ハイフンなしで入力してください

ご入力いただいた情報に基づき、弊社からサービスのご案内を差し上げることがございます

記載いただいたメールアドレスに資料をお送りさせていただきます。また、広告を含むご案内メールをお送りする場合がございます。
個人情報の取り扱いに関しては、必ず弊社のプライバシーポリシーをご確認ください。

side_banner
side_banner