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公開日: 2024.08.27

更新日: 2024.09.30

国立長寿医療研究センター開発、健康促進アプリのUI/UXエキスパートレビューを実施

▼取材協力

  • 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター センター長 島田 様
  • 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 冨田 様
  • 株式会社オースタンス ソリューションユニット マネージャー 井川
  • 株式会社オースタンス ソリューションユニット UI/UXデザイナー 虫谷
  • 株式会社オースタンス ビジネスプロデュースユニット マネージャー 加藤

実施の背景|継続率向上に寄与するUI/UXとは

厚生労働省と連携して開発しているネイティブアプリ「オンライン通いの場」は、現在会員数約5万人を誇り、その成長戦略においてグロースとリテンションの両面が重要視されています。特に、リテンションの向上はその成長の鍵を握る要素の一つであり、この課題に対する打ち手を検討していました。

システム会社と連携し実装、その後アプリを運用していますが、シニア層にとって最適な機能やグロースに必要な機能の要件定義が不十分であるという課題が浮上し、登録率および継続利用率に課題がありました。この問題を解決するために、現在の利用者データを活用し、2024〜2025年度にかけて大規模な改修を実施する計画が立てられました。そして、2024年度中に各種課題の抽出や要件定義を実施できる、特にシニア領域のUI/UXに特化したパートナーを探していました。

この改修プロジェクトでは、アプリのアドヒアランスとリテンションに寄与するUI/UX改善が重要な焦点となっています。そこで国内最大級の39万人の会員を抱えるシニア向けコミュニティサイト「趣味人倶楽部」の運営ナレッジを活かしたUI/UX改善を提案いたしました。オースタンスでは、エキスパートレビューから開発要件定義、開発、さらにはプロモーションまで一貫した支援が可能であり、サービスのグロースに向けた抜本的な解決策を提供することが期待されていました。

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島田氏: 「オンライン通いの場」の戦略的な部分は、初期段階から大手コンサルティング会社と開発会社とも連携してきました。ただし、シニア世代に利用を促すデザインまで充分には考慮できていませんでした。

冨田氏: そこでシニア世代とUI/UXに強みを持っている企業を探していたところ、オースタンス社がその条件に合致しました。シニア世代への充分なUI/UXの知見、打ち合わせ時のスムーズなコミュニケーションや迅速な見積もり提出が、オースタンス社を選ぶ決め手となりました。

取り組み内容|シニアUI/UX知見を活かしたエキスパートレビュー

ヤコブ・ニールセン氏のUI原則の要点を踏まえたヒューリスティック評価を使ったUI/UXのレビューを行いました。シニアUI/UXの知見と基本的な原則に沿ってデザインを見直すことで、シニアならではの使いやすさや、ユニバーサルデザインとしてのユーザーエクスペリエンスの改善点を整理いたしました。日本最大級の中高年向けコミュニティサービス趣味人倶楽部の運営で培われたシニア向けUIUXの知見と、年間200名以上のシニアとデプスインタビューをしてわかったインサイトを活用したレビューを実施いたしました。

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まず、はじめに取り組んだこととしては、UXの改善および新機能のご提案にあたり、認知症・介護・フレイル予防に有効な項目について競合リサーチを実施しました。のべ50件以上リサーチを行い、特に多機能・記録系のアプリの中でも利用者数の多いアプリについて抜粋し整理いたしました。

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結果・改善提案|シニア・高齢者に利用されるUIとは

類似リサーチの観点と、継続利用を阻害している本アプリの要因を、シニアUXの知見から整理を行い、現状のユーザーフローおよびその問題点を洗い出しいたしました。特に、新規会員登録導線の見直しが初回ダウンロードから利用、継続までに大きく寄与すると考えました。

そこで、シニアUXの前提である新規会員登録導線では、ツアー型チュートリアルを上手く導入することが中高年・シニアのオンボーディングで重要であるという弊社知見を活かした改善策をご提案いたしました。

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UI改善では、ユーザビリティ研究の第一人者である「ヤコブ・ニールセン氏」のUI原則の要点を踏まえたヒューリスティックでUIレビューを実施。ヒューリスティック10ヵ条に基づきオンライン通いの場の課題点を200点以上洗い出し、デザインの欲求階層に基づき重要度の整理をさせていただきました。

前述のピラミッドが指し示すように「機能性」や「使い勝手」などの基本的な部分が整っていないデザインは、上位階層の「創造性」や「楽しさ」を獲得することはできないと考えました。シニア層では特に、学習コストの高い操作は負担が大きく、苦手意識を醸成しやすいため、シンプルで直感的なデザインを意識することが極めて重要と弊社は考えています。

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島田氏: オースタンス社によるUIの改修は非常に満足のいくものでした。特に、論理的な返答と理論に基づいた設計に感銘を受けました。これにより、我々はプロフェッショナルなデザインを実現するための道筋を見つけることができました。今後はいただいた内容をもとに開発要件定義を行い、実装していきたいと思います。

まとめ|顧客起点でのサービス開発の重要性

冨田氏:これまで、約3500名を対象とした介入研究事業に参加中のユーザーを中心に、本アプリに関する様々なフィードバックをいただきながら、当メンバーで改善を試みてきました。その中で、「本当にユーザーに使い続けてもらうにはどうしたらいいのか。」という課題と、それをどのようにUIに落とし込むのかという2つの課題に直面していました。そこで今回、シニア世代の視点を持つオースタンス社からのUI/UXレビューを実施していただいたことで、従来の技術中心のアプローチだけでなく、ユーザーの視点を加味することの重要性を再認識できました。 この経験から、今後のサービス開発においては、技術だけでなくユーザーの視点をより重視し、両者をバランスよく取り入れていきたいと考えています。ユーザーの立場に立ち、そのニーズや要望を十分に理解することで、より使いやすく満足度の高いサービスを提供するとともに、ヘルスケアアプリにおける様々な科学的根拠を示していくことが、私たちの使命であると考えております。今後も、積極的にユーザーとの対話を重ね、サービスの品質向上に取り組んでいきたいと思います。

このように、中高年・シニア層向けのUI設計には、チュートリアル設計や、アクションの明示など、年代やデジタルリテラシーに最適化された工夫が必要となります。 デジタルに慣れ親しんだ、若年層向けのUI設計とは異なり、学習負荷やアクションの明示性をある程度引き上げる一方で、ユーザビリティを損なわないよう、過不足なく設計することが重要なのです。 オースタンスでは、自社事業である趣味人倶楽部をはじめ、数々の中高年・シニア層向けデジタルプロダクトの調査・改善を実施しております。 プロダクトグロースや、新規プロダクト設計にお悩みの担当者様は、まずはお気軽にご相談くださいませ。

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シニア向けUI設計の落とし穴3選

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