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少子高齢化が進む中、シニア(高齢者)向けのビジネスを検討する企業が増えています。しかし、シニア層へのマーケティングは非常に難しく、いくつかのポイントを押さえ、かつ有効な媒体で訴求を行わなくてはなりません。
ここでは、シニア向けの集客方法のポイントや種類、注意点、成功事例をご紹介します。シニアの集客に課題を持つ企業のマーケティング担当者は、ぜひご参照ください。
シニア層を集客する場合、以下4つのポイントを押さえることが重要です。
①分類されるシニア層 ②シニア層の興味関心を理解する ③ペルソナ ④アナログ&デジタル
ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。
シニアと言っても、健康状態や経済状況などによってライフスタイルは異なります。そのため、集客したいシニア層がどういったタイプなのか、その特徴を理解することが大切です。 シニア層は、大きくわけて次のような4つの層に分類されます。
①アクティブシニア ②ディフェンシブシニア ③ギャップシニア ④ケアシニア
それぞれの概要と、集客のポイントを解説していきます。
アクティブシニア
アクティブシニアとは健康に問題がなく、行動的であり、自立して生き生きとしている高齢者で、65歳から75歳くらいの前期高齢者を指すことが多いです。 金銭的に余裕があり、仕事や趣味に対して意欲的であるのが特徴だと言えます。新しい価値観を受け入れやすいのもアクティブシニアの特徴です。
ディフェンシブシニア
ディフェンシブシニアは、健康に問題はないものの主な収入が年金のため所得が少ない高齢者を指します。 収入が少ないディフェンシブシニアの消費行動は、リスクを避け慎重になる傾向があります。
ギャップシニア
ギャップシニアは、介護が必要ないものの、病気や体力の低下などにより「できること」が減っている高齢者です。日常生活の中で諦めや我慢が積み重なっているため、アクティブシニアやディフェンシブシニアよりも、趣味や社会活動に消極的になる傾向があります。
ケアシニア
ケアシニアは、家族やヘルパーの支援を必要とする高齢者です。自分だけで行動するのが難しく、日々の生活でも周りのサポートが必要となるため、消費行動が最も消極的な分類になります。
シニア層を集客する際に、シニア層の興味関心を理解することは非常に重要です。ここでは、高齢者を集客するのに欠かせない高齢者の傾向と関心をご紹介します。
高齢者の傾向の1つとして、健康に気を使っている人が多ため、食事やフィットネスにお金を使っていることが挙げられます。株式会社オースタンスの調査によると、87.7%の高齢者が健康のための取り組みを行っていることがわかりました。また具体的な取り組みとしては、「適度な運動(77.6%)」や「バランスの取れた食事(76.9%)」といった回答が多く、食事と運動を気に欠けているシニア層が多い結果となりました。また、調査対象の48.1%の高齢者が健康サプリを飲んでおり、健康維持のためにお金を使っていることもわかります。
シニア層を理解するためにも、高齢者がどのような趣味を持っているのか知ることも大切です。 総務省の2016年の調査では、65歳以上の男女の趣味・娯楽として最も人気が高かったのが「園芸・庭いじり・ガーデニング」でした。次いで、「趣味としての読書」「映画鑑賞」となっていました。 高齢者の娯楽・趣味は現役世代とはまた違った傾向にあるので、きちんと理解する必要がありそうです。
シニアへの集客効果を高めるためには、前述した4つの層への分類だけでなく、さらに細かいペルソナ設定が重要です。ターゲットとなるシニア層のニーズや関心を理解し、それらに基づいたマーケティング戦略を立てることで、高い集客効果を期待できます。
ペルソナを設定するには、ターゲットユーザーの毎日の過ごし方や趣味などのライフスタイル、価値観や購買態度などを決めることで、よりユーザー像が明確になります。
例えば、アクティブシニアをターゲットにした場合のペルソナとして次のように設定することができます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【アクティブシニアのペルソナ例:70歳男性】
シニアを集客するための重要なポイントの1つは、「アナログとデジタル」の組み合わせです。新聞やテレビなどのメディアと、インターネットやスマートフォンなどのデジタルメディアを上手く組み合わせてアプローチすることを意味します。
アナログメディアを活用するメリットは、信頼性と直感的な操作です。シニアにとって、新聞やテレビは長年にわたり信頼できる情報源として利用されてきました。またアナログメディアは、物理的な操作が必要なため、直感的で理解しやすいと感じる高齢者も多いです。
一方、デジタルメディアのメリットは、即時性と便利さ、そしてパーソナライズです。デジタルメディアは、最新の情報をリアルタイムで提供できます。さらにデジタルメディアは、ユーザーの興味や行動に基づいて情報をパーソナライズできます。そのため、一人ひとりのシニアに合わせた情報提供が可能です。
アナログとデジタルのメディアを組み合わせることで、シニアのライフスタイルやメディア利用習慣に合わせたマーケティングが可能となります。例えば、新聞広告で商品やサービスを紹介した後、同じ内容のデジタル広告を配信することで、高齢者の記憶に定着させることが可能です。また、デジタルメディアを通じて提供される情報やサービスを、アナログメディアで補完することも有効でしょう。
ただし、シニアのメディア利用習慣やライフスタイルは個々に大きく異なるため、一概に全ての高齢者に対して同じアプローチをするのではなく、ターゲットとする高齢者の特性を理解し、それに合わせたアプローチを考えることが重要です
次に、シニア層を集客するための手法について解説します。代表的な集約方法は以下の4つです。
①マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞) ②フリーペーパー・会員誌 ③交通広告 ④Web広告・Webメディア
それぞれの特徴や活用メリットなどをご紹介します。
シニアの集客において、マスメディアは重要な役割を果たします。例えばテレビです。高齢者は時間にゆとりのある方が多く、若い世代と比べてテレビを見る習慣があります。そのためテレビは、シニアにとって重要な情報源の1つだといえるでしょう。
総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、2020年における平日の平均テレビ視聴時間は163.2分なのに対して、60代は271.4分と1日当たり約1時間30分も視聴時間が長いことがわかります。テレビ広告は、年齢や性別などの細かいターゲティングはできないものの広く大衆にアプローチすることが可能です。
また、ラジオもシニアと親和性の高いメディアです。新聞通信調査会の調査によると、平日の平均ラジオ聴取時間は13.4分なのに対して、60代は18.5分と他の世代よりもラジオを聴く時間が長い傾向にあります。ラジオ局は地域ごとに異なるため、特定の地域に焦点を当てた広告出稿が可能です。シニア層が多く住む地域を選定することで、効果的なターゲティングができます。
一方、新聞もシニアにとって欠かせない情報源の1つです。新聞通信調査会の調査によると、2023年度における40代以下の世代で月ぎめ新聞を購読している人の割合は40%以下だったのに対して、60代では68.2%、70代以上では82.7%という結果でした。そのため新聞はシニア層にアプローチする際に有効なメディアの1つと言えそうです。
参考:総務省/令和3年版情報通信白書 主なメディアの利用時間と行為者率 参考:新聞通信調査会/第16回 メディアに関する全国世論調査(2023年)
フリーペーパーは年代や地域を特化した内容で、ピンポイントでの集客を実施できます。病院や介護施設置かれていることも多いです。会員誌は特定の方々のみに情報公開されるクローズドメディアです。会員誌を通じてコミュニケーションを取り、ファン化を促進できます。
フリーペーパーや会員誌は、企業や団体が直接発行する、情報の信頼性が高いと感じるシニア層が多いのも特徴の1つです。そのため、これらのメディアを通じて提供される情報やサービスに対する信頼感が高まる傾向にあります。
マスメディアとは違い、地域や年代などある程度ターゲットとなるシニア層に絞って直接情報を届けられるのがメリットです。また、紙媒体のフリーペーパーや会員誌は手元に残るため、何度でも読み返してもらえます。
交通広告とは電車やバス、タクシーなどの公共交通機関や駅、バス停などの施設に出稿される広告です。交通広告は交通機関ごとに利用者層が異なるため、ターゲットとなるシニアが多く利用する駅やバスなどに広告を出稿することでターゲットを絞ることも可能です。
また、毎日同じ時間に同じ交通機関を利用する方が多いことから、広告の反復性が高いのも特徴です。シニア層は、公共交通機関の利用回数が増える傾向にあるため、最適な交通広告は効果的なシニア層の集客方法の1つとなる可能性があります。
近年、シニア層のインターネット利用率が上昇しており、Web広告やWebメディアの活用が、シニア層を集客するための重要な手段となっています。
総務省の調査によると、2023年における60代のインターネット利用率は90.2%に達し、70代でも67%を記録しています。高齢者のインターネット利用率は増加傾向にあり、今後もこの傾向が続くと予想されます。また、インターネット利用者のうち、60代の76.7%、70代の66.6%がSNSを利用していると回答しています。
このため、テレビ広告や新聞広告などの従来のメディアに加えて、オンラインやSNS広告を活用することで、より効果的なシニア層の集客が期待できるでしょう。
参考:新聞通信調査会/第16回 メディアに関する全国世論調査 (2023年) 参考:総務省/情報通信白書
シニア層の集客を検討する際に、ターゲットが高齢者だからこそ注意すべきポイントがあります。ここでは具体的に2つの注意点を紹介します。
シニアを指す言葉は慎重に選ぶべきです。一般的な表現である「高齢者」や「シニア」といった言葉に対して、嫌悪感を抱く方がいるこを考慮しましょう。というのも、高齢者に該当する年代の人でも、「シニア」と呼ばれたくないと考えている方もいます。
実査にシニア層を集客する際には、例えば「高齢者」という表現を使わず、「75歳以上の方々」など具体的な年齢に言い換えることで、ネガティブな印象を与えることなく狙ったターゲット層により届くメッセージなる可能性があります。
シニアの中には視力に問題を抱える方もいるため、注意が必要です。老眼や白内障などが原因で、文字が読みにくいことがあります。クリエイティブなコンテンツを作成する際には高齢者が見やすいデザインにする必要があります。
まずはテキストについてフォントサイズは、一般的に12pt以上が適しているとされています。また行間にも注意することで、高齢者が読むのを面倒に感じることのないテキストになります。
もう一つ注意したいのがコントラストです。一般的に加齢によって色覚は変化し、黒と青などコントラストがあまりない色同士の組み合わせ違いがわかりにくくなります。また白内障になると、黄色と白を見分けにくくなります。そのため、「黒と白」や「青と黄色」など色使いにも注意する必要があります。
シニアをターゲットとしたビジネスを展開する企業は、実際にどのような集客を行っているのでしょうか。ここでは、シニアをターゲットとした集客の成功事例を2つご紹介します。
「やずや」は、健康食品を販売するブランドで、テレビCMや新聞広告、デジタル広告を上手く活用して、顧客となるシニア層をネットショップに誘導しています。同社の公式サイトでは、フォントの大きさが適切に設定されているのが特徴です。シニアの視力に配慮し、文字が読みやすく、目立つように工夫されています。
また性別・年代別のおすすめ商品をランキング形式で表示させているのも1つの特徴です。ここでは、「高齢者」「シニア」といった分類をせず、「女子60代~」というようによりターゲットを絞った設計となっています。 その他にも、サイトのナビゲーションにある「CM商品」という項目は、テレビCMを出稿する「やずや」ならではで、テレビCMを見て初めてサイトを訪れたユーザーでも商品を探しやすい設計になっています。
参考:やずや公式サイト
「アートネイチャー」は、幅広い商品とサービスを提供する毛髪のプロフェッショナル企業です。同社は女性用ウィッグのプロモーション施策として、オンラインイベントを実施しました。同イベントはシニア層をターゲットにしており、ウィッグを前面に出さない施策設計が特徴です。
ウィッグに対して好感的な認知を持つ未顧客層に焦点を当て、ウィッグの体験意欲を高めるための施策を実施しました。また、ウィッグを前面に出さないコミュニケーションを徹底し、商業広告感を与えない設計を行った点も特徴です。
具体的にはメイクを中心に据え、ウィッグを自然にご紹介する企画設計を行いました。このオンラインイベントは、参加者から高い満足度を得ており、数百名に対するカタログ送付や顧客リスト化にも成功しています。参加者からは「ウィッグに対する印象が大きく変わった」といった声が多く寄せられ、ウィッグの体験意欲を引き出す効果が確認されました。
シニア向けの集客を実施する場合、シニアと一括りにするのではなく、分類に基づいたペルソナを設定した上でのアプローチが欠かせません。彼らの興味関心に合わせ、アナログとデジタルメディアを組み合わせた戦略が効果的です。 またデザインやクリエイティブを検討する段階では、メディアを問わず、シニア層に適した言葉選びや視覚的配慮も必要です。 今回ご紹介した内容を参考にして、シニアの集客方法に取り組んでみてください。
オースタンスは、シニアDXを推進するスタートアップ企業です。 シニアマーケティングとは、一般的なマスマーケティングとは違った視点で、シニア世代のインサイトを深掘りして施策を考える必要があります。 シニアマーケティング/事業開発でお悩みの担当者様は是非お気軽にご相談ください。
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