シニアDX推進

2023.02.21

アクティブシニアの定義とは?ペルソナを設定しマーケティングできるまでに解説!

「最近アクティブシニアが増えてきている」
「アクティブシニアに特化したサービスを…」

といった言葉をよく聞くようになりました。

しかし、そもそもアクティブシニアというものがどういった方々を分類し指しているのか、見えない点があるかと思います。 「アクティブシニア」とは、趣味や仕事などの様々な活動や消費行動、社会貢献に意欲的なシニア層の総称 です。

人生100年時代と言われている今、「シニア=身体が老化して介護が必要」、「シニア=デジタルリテラシーが低い」というイメージも徐々に薄くなってきました。実際に、様々な分野で活躍しているアクティブなシニアの方々の姿も多く見られます。

そこで今回は、アクティブシニアの行動や意識についてまとめました。アクティブシニア向けのサービスや商品のプロモーションを担当している方や新規事業を検討されている方は是非、参考にしてみてください。

セカンドライフを楽しむアクティブシニアとは?

アクティブシニアがハイタッチをする画像

対象の年齢や定義、意味を用語解説

  • 新しい価値観を生活に取り入れている
  • 趣味などさまざなな活動をしている
  • モノ/コトに関わらず消費活動に積極的

アクティブシニアとは、上記のような特徴を持つ元気なシニアのことを指します。

端的にいうと、「年齢に関係なく、様々なことに意欲的で、健康意識が高い傾向にある活動的な高齢者」のことです。

また、「一般社団法人日本アクティブシニア協会」では、65歳から75歳までの方と定義されています。昔のような、「定年退職後は、家でゆっくり暮らそう」という消極的な過ごし方をするシニアは、アクティブシニアには入りません。最近では、 引退や老後を前向きに捉え、より充実したセカンドライフを送りたい と考えるシニアの方々が増えてきています。

参考ですがアクティブシニアの言い換えとして、「団塊の世代・アラ還・アラウンド60・新世代シニア」といった言葉が挙げられます。また対義語として「ケアシニア」もあります。ケアシニアは「身体的な障害により、日常生活において家族やヘルパー、医療従事者の助けを必要とし、自治体により「要支援(要介護)」と認定されている方を指します。

人口から見るアクティブシニア層の市場規模

2030年における日本の総人口予測は約1億1,912万人と減少するうえに、その内の31.1%にあたる約3,715万人が65歳以上の高齢者となります。つまり、3人に一人が65歳の高齢者となります。

そしてその手前の2025年には100兆円超の市場規模になると言われているシニア市場。特にそのシニア層の中でも65歳以上のアクティブシニア層の人数割合は約8割を占めると言われています。さらにアクティブシニアは購買意欲が高く、今後シニア市場を勝ち抜くために狙うべき層と言えるでしょう。

「アクティブシニアの日」もある

上に記載の通り、「アクティブシニア」は今後のシニア市場の中心を占めるため、注目を集めています。その注目の表れとして、大阪府は毎月15日を「アクティブシニアの日」と制定したほどです。この日は、自ら学び自ら行動する「アクティブシニア」をめざして、すべてのシニアが、今の自分より、「より前に」「より広く」「より高く」、できることから「一歩前に」進むきっかけをつくる日としています。

超高齢社会の日本におけるアクティブシニアの行動の特徴

自分のライフスタイルを大切にしている

アクティブシニアの方は自分の価値観に基づくライフスタイルを大切にし、興味があることには積極的に飛び込む姿勢を持っています。

仕事に対する姿勢

定年退職後にも仕事を持つ人が増えている「セカンドキャリア」が注目されています。その一例として子育て終わりなどにも再就職するケースが増えており、アクティブシニア社員として雇用を増やし、継続する企業も増えてます。シニアの雇用には厚生労働省も積極的で、今後シニア×雇用は市場が伸びていくでしょう。

時間とお金について

時間やお金に余裕がある こともアクティブシニアの特徴です。

仕事や子育てなどが終わり、自らのためにお金や時間を使える余裕があるので、やりたい、行ってみたい、と思っていることに対して積極的に行動します。どのような暮らしをしたいかは人それぞれですが、 「元気で前向きなこと」「自分らしさを大切にすること」 は共通している傾向にあります。

また、シニアマーケティングにおいては、アクティブシニアは購買活動が活発で時間に余裕がある方が多いという傾向があるため、通販などをはじめとするチャネルにおいてもターゲット属性として有力視されています。

「おすすめ商品」への消費動向とニーズ

シニア特有の行動特性として、流行やトレンドなどの「おすすめ商品」を簡単に信頼しないという特性があります。シニアは比較的、「流行などに流されず長年親しんできたものや自身の信頼できるものを好む」という傾向が強いです。そういった傾向から流行などの「おすすめ商品」よりも、身近な人からの口コミに影響を受けやすいです。シニアにマーケティングする場合はそういった口コミマーケティングにも注目されています。

旅行に出かける

友人など仲の良いコミュニティで旅行プランを立てて旅に出たり、一人で既存のパッケージツアーに参加し、そこで新たな出会いを求めたりと、 積極的に行動するシニアが多い のがアクティブシニアの特徴の1つです。アクティブシニアの方々は、新しい価値観を手に入れたいという欲求が強くみられ、そのために「新たな旅先」や「新たなコミュニティ」などに時間とお金を消費し、 人生そのものを楽しみたい方が多い 傾向です。

国内だけでなく、負担の大きい「海外旅行」や「世界一周」などを楽しむアクティブシニアの方々もいます。また、温泉がある宿など、美容や健康、運動にも繋がるサブの要素が入っているものも人気となっています。

運動・スポーツをする

アクティブシニアの中には、 健康寿命を伸ばしたいと考えている人が多い ため、美容や健康にも意識が高いことが特徴です。健康維持のため、定期的に地域ボランティアや習い事、ジム、フィットネスなどライフスタイルの中に運動を取り入れている人が多くいます。中には、SNS等で繋がった方に自分が企画したイベントに参加してもらうような、日常イベントを開催しているアクティブシニアの方々もいます。

1人で黙々と運動するだけでなく、同世代の仲間やネットなどを通して気が合いそうな仲間を探し 、一緒に体を動かしてコミュニケーションをとることもアクティブシニアにとって、大切な要素となっています。また、

コロナで増えた「フレイル・認知症」リスク

フレイルとは、英語「Frailty」(虚弱、弱さ、もろさ)の日本語訳として一般社団法人日本老年医学会が2014年5月に提唱した考え方です。健康と身体機能障害=要介護状態の中間に位置づけられる状態のことを指しております。シニア市場の伸びにより近年注目を集めている言葉の1つです。

コロナにより直近2年間で外出やコミュニティでの交流活動が減りました。これは北海道などの地方だけでなく、東京などの都会にも当てはまります。中高年・シニア世代の方々にとっては、運動量や会話量が少なくなり、フレイルが加速しています。

またフレイルと認知症は密接な関係にあります。身体的にフレイルであることは認知機能の低下リスクであり、反対に認知機能の低下は身体的フレイル進行のリスクであると言われています。

趣味に興味を持ち、深く楽しむ

アクティブシニアの中には、ご飯を食べたり、お酒を飲んだり、カラオケや音楽鑑賞など共通の趣味で繋がり、新たな人と実際に共通の趣味を楽しむことにより、有意義な人生を楽しんでいます。つまり、 アクティブシニアの方々は自分自身のセカンドライフを充実させるために、平日のお昼や土日は友人と外出することが多く、趣味を満喫する 傾向があります。

アクティブシニアの方々のセカンドライフをより充実させるためのサービスが「 趣味人倶楽部 」です。大人世代のコミュニケーションサービス「 趣味人倶楽部 」では、趣味を通じて集まった多くのコミュニティが存在しており、コミュニティ内でのオフ会(ランチ会やアフタヌーンティー、カラオケ、旅行など)が月に1600回程、開かれています。

趣味人倶楽部を通じて、オンライン上でマッチング的に出会い、リアルの場でより仲を深め、またオンライン上で連絡を取り合うコミュニティが維持されています。趣味という共通の言語があるためスムーズに関係構築され、 新たなコミュニティが築かれやすい ことも特徴の1つです。

アクティブシニアの意識・価値観調査結果

これまでアクティブシニアの特徴をいくつか挙げてきました。アクティブシニアの方々は時間とお金に余裕があり、それらを自らのために有意義に使う傾向があります。弊社株式会社オースタンスは趣味人倶楽部会員様に年間200件以上のデプスインタビューを実施しています。以降では、そのインタビューをもとに判明した、アクティブシニアがどのようなことにお金を費やす傾向にあるのかを解説いたします。マーケティング活動の参考になればと思います。

習い事/趣味

定年退職をされた方の中で、特に仕事が生きがいだった方の場合、仕事を引退してから気分が沈んでしまったというのはよく聞く話です。このように時間を持て余して、ぼんやりと生活を送るなんてもったいないと考えるので、その空いた時間(平日の日中など)で、新しい価値観を手に入れたり、新たなコトに取り組む方が多いです。体力はあっても時間がなかった若い頃と比較して、時間にゆとりを持てる老後ならば、「やりたい」と思っていたことにチャレンジできるはずです。 再度自分自身の人生設計を立てるきっかけになるタイミング にもなります。

趣味人俱楽部の会員様の中には、習い事(園芸、茶道、家庭菜園、英語学習、料理、ハンドメイド、ダンスなど)や趣味(鉄道、映画、カラオケ、写真、釣りなど)を平日、土日に関係なく、楽しまれているアクティブシニアの方々が多くいらっしゃいます。傾向としては、 他者との繋がりを感じる趣味に意欲的に参加する傾向があり 、その他にもボランティアを通して、 「歳をとって周りに迷惑をかけるのではなく、社会貢献をもっとしたい」 という意識を持たれる方もいらっしゃいます。

国内旅行/海外旅行

セカンドライフを楽しんでいるアクティブシニアの中で、 最も人気のあるジャンルは旅行 です。旅行は、「新しい価値観」「グルメ」「観光」など、多くの要素を兼ね添えているため、趣味を通じて新しく出会った方や夫婦で一緒に出掛ける方々が多くいらっしゃいます。国内旅行だけでなく、海外に行かれる方や、中には豪華客船のクルーズや観光列車などのツアーを利用する人もいます。

近年では、ペット等を飼われている方々も増えていて、宿泊を伴う旅行が難しい場合、 気軽に行くことができる日帰り旅行も人気になっています 。家の近くにあるけど今まで行ったことがなかった観光名所など、 シニア世代がスマホを通して検索することが多くなったことを背景に 、現在では人気なジャンルです。これからより一層、「日帰り旅行」の市場は拡大余地があるかもしれません。

美容/化粧品

シニアの方には美容、ファッションに関心がある方が多いです。背景としては少しでも毎日楽しみたい、または「アンチエイジング」の言葉通り若々しくありたいという思いから関心があるようです。

実際に美容には、見た目をきれいにするだけでなく、気持ちを明るくするなど、精神的にも良い影響を与える効果があります。

持ち家の有無

内閣府の出している高齢社会白書によると、平成30年の住宅保有状況は以下のようになっています。
(持ち家率:61.2%、65歳以上の持ち家率:82.1%、単身の65歳以上の持ち家率:66.2%)

このデータからは単身の65歳以上になると途端に持ち家率が下がり、賃貸で生活している割合が33.3%となっていることがわかります。

また、総務省が公表している土地統計調査によれば、1990年以前に建てられた物件の割合が38.8%となり、持ち家を保有している高齢者の物件は築年数が30年以上も経過している場合が多いと推察されています。こうしたことから、自身のライフスタイルの変化、介護や支援を想定した増改築、家電の買い替えを検討する高齢者も多いのではと考えられます。

シニア領域で市場規模が伸びている業界

食と栄養/健康食品

多くのことを楽しみたいと考えているシニアの方にとって、 健康状態を維持することはとても大切です 。多様な趣味や意識が高いアクティブシニアは 「生涯現役でいたい」 という意識が強く、積極的に 健康グッズや病気予防の健康法 を取り入れる傾向があります。健康寿命をより伸ばすために、日々運動をする習慣や、サプリや食事などに気を遣っている方は多くいらっしゃいます。

健康食品市場は年々拡大を続けており、その要因は特定保健用食品制度や栄養機能食品制度等の政府による施策導入にあるとされています。

またコロナ禍において消費者の健康・免疫への関心が高まったこと、また在宅時間の増加による、運動不足が引き起こす健康面への懸念も理由だと考えられています。

機能性表示食品のうち、サプリメントは2020年までは積極的な広告展開によるヒット商品の商品化などで急速に進捗していましたが、2021年は鈍化。

現在は競合が激化しており、市場としては伸びるもののマーケットとしては厳しい状況を迫られると見られています。

一方で、清涼飲料は手軽に飲用が可能であることから機能性表示食品化やヒット商品が誕生しており今後も市場の拡大が見込まれます。機能性表示食品市場は拡大傾向にあるものの届出撤回数が増えているという側面もあります。

シニア層の健康・免疫向上への関心は高い状態が続いているため、今後も健康食品の需要は手堅いでしょう。

介護/施設

介護市場はシニアの人口が増えると共に拡大を続けています。 みずほ銀行産業調査部 の統計イラスト資料によるとシニア市場全体で100兆円を超える2025年には、15.2兆円にも達すると言われております。

要介護者の住まい、老人ホームなどの市場も拡大していくでしょう。

犬猫などのペット

実は、ペット市場とシニアにも密接な関係があるのです。

内閣府『高齢化の推移と将来推計』 によると、2036年には日本の総人口の3人に1人が65歳以上となる見通しが出ています。

一方ペット市場をみると、2019年度のペット関連ビジネス市場規模(末端金額ベース)は、前年度比101.8%の1兆5,700億円と推定されており、犬・猫合算での飼育頭数そのものは減少傾向にありながら、市場規模全体では微増傾向にあります。こうした背景を踏まえ、さまざまな企業・団体がペット市場でのサービスを展開しています。

以前弊社が共同調査を実施した「犬猫生活株式会社」も2019年から国産無添加フードを製造販売しており、顧客層は50代をメインにシニア層が約半数を占めています。

雇用

「マイナビ企業人材ニーズ調査」 によると、「70歳までの就業機会確保」の努力義務に対して、定年引き上げを含めた何らかの雇用継続制度を準備した企業は6割となっています。

そうした中で、シニアの雇用機会・求人は増え続け、国も後押しをしています。

またその他にも保険などの金融業界も成長が見込まれています。

マーケティング/事業開発ご担当者様へ

中国のシニア市場は要チェック

中国では、高齢者は60歳以上と定義されることが多いです。近年、中国の高齢化が大きな話題としてよく取り上げられています。「2020年度国家老齢事業発展公報」によると、2020年11月1日までに、中国の60歳以上の高齢者は2.6億人まで拡大し、全体人口の18.7%を占めています。10年前の国勢調査に比べると、8637万人が増え、まさに高齢化社会に突入しています。

今後、高齢化が進むにつれて、高齢者の需要に対応できるインターネットサービスが強く求められています。また、高齢者の消費志向はモノ消費から、レジャー、健康等サービス消費までに拡大、消費多様化の発展により潜在的新しいマーケットも次々現れています。

政府の後押し、サービスプロバイダーの技術改善により、SNS、EC、オンラインレジャー等高齢者向けのデジタルサービスがどんどん出ると想定されます。今後日本のシニア市場開拓の参考に、ぜひ押さえておきたい市場です。

よくある課題・問題

最も多いのは 「シニア」を一括りで捉えてしまう パターンです。「シニア世代」が含むのは、実際中高年層、前期高齢者、後期高齢者を一緒くたにしたマジックワードであるため、マーケティングにおいては明確にセグメントを切る必要があります。

「シニア」という言葉自体が、領域を定義しているように見えますが、実際は60歳以上や 65歳以上といった色んな人たちを含む「属性」の総称でしかありません。一見シニアという言葉で絞っているように見えますが、<切り口><ペルソナ><産業>は無数に存在することを頭に入れておきましょう。

そこで、シニアという属性ではなくN1起点で特定のインサイトやジョブ(=状況)を捉えることで事業開発・マーケティングの切り口を得ることが必要です。

シニア向けメディア趣味人倶楽部会員様の人気・関心トレンドランキング

実際にアクティブシニアが集まるシニア向けSNS「趣味人倶楽部」の会員様が、どういった情報に関心があるのか、アンケート結果をまとめたデータになります。

やはり「旅行、健康、グルメ」が上位にランクインしており、老後もアクティブに活動していたい。というインサイトが現れています。

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まとめ

従来の「老い」「介護」というイメージを払拭する、 活発なライフスタイルを送っている方々がアクティブシニア です。

現在の平均寿命を考えると、子離れが終わった後、定年退職後から何十年も生きていくことになります。アクティブシニアの生き方は今後、シニアのライフスタイルのお手本になっていくでしょう。

アクティブシニアについて知見を深めることはメリットしかありません。このような方々に、どうしたらアプローチ、集客できるか?という点は、シニアマーケティングにおいて非常に重要なポイントです。

趣味人倶楽部では、企業様と一緒に「シニア世代」の新しいマーケティング手法を研究したり、会員様とのデプスインタビューを設計したり、会員様を送客するような取組みも実施しています。

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